研究部主任の挨拶

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 「時間軸」、それは自然科学から人文科学の広範囲の研究にとって重要な情報です。名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究部は、世界最古の岩石から考古学的遺物、そして近世の文物までの幅広い時間軸を対象として年代測定やそれらと関連した研究を行っている、世界でも数少ない研究教育施設です。

 当研究部は、平成2(1990)年6月8日にタンデトロン加速器質量分析計(AMS)を用いた14C年代測定研究と資料館という二つの機能を併せ持つ年代測定資料研究センターとして発足しました。そして、平成12(2000)年の改組の際に、資料館としての機能は大学博物館として大幅に拡充されるとともに、年代測定研究部門はAMSと理学部地球惑星科学科で開発・実用化されたCHIME年代測定装置を併せて、世界最先端の年代測定研究を行う年代測定総合研究センターに生まれ変わりました。さらに、平成27年10月1日には、太陽地球環境研究所と水循環研究センターと組織統合し、現在に至っています。

 当研究部は、「タンデトロン年代測定研究グループ」と「微小領域年代測定研究グループ」から構成されています。そして、「タンデトロン年代測定研究グループ」は、加速器質量分析計を用いた放射性炭素(14C)年代測定法の高精度化と考古学・文化財科学関連資料の年代測定研究を、また「微小領域年代測定研究グループ」は、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いる Th-U-Pb 化学アイソクロン 年代測定法(CHIME)を基礎とし、その改良と高精度化や岩石試料の年代測定を行っています。当研究部は、これまでに地質学や考古学、古文書学など諸分野のみならず、水圏、気圏や太陽系の活動に関する研究でも重要な貢献をしてきました。

さらに、当研究部は、大学内および大学相互の教育研究にとどまらず、地域社会への貢献や社会への情報発信も重要と考え、学外の博物館や資料館などとの共同研究を積極的に進め、また「年代」をキーワードとした小中学生向けの公開講座などを実施してきました。

我々は、年代測定を基礎とした人類文化史と自然環境変遷史および46億年の地球史に関する研究・教育を続けると同時に、これまでに培ってきた年代測定・化学分析に関する基礎的知識や技術「匠の技」を次世代に継承する努力をしてゆく所存です。今後とも皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

平成27年10月
名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究部主任
榎並正樹

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