CHIME年代測定法
JCXA-733の反射電子像の高速化
CHIME年代測定法では地質学的試料の年代測定を行います.その際,岩石の組織や測定鉱物の累帯構造を確認しながら分析点を決定するために,反射電子像(backscattered electron image)を観察します.
JEOL JCXA-733の反射電子像ユニット
日本電子のEPMAは,8800/8900まで標準の反射電子像ユニットでは低速スキャンでしか鮮明な像を得ることができません.オプションで高速反射電子像のユニットが販売されていますが,コントラストの低下を指摘する研究者もいるようです.
分析点を探す場合,高速で画像をスキャンした状態でステージを移動させることができると効率が著しく向上します.しかし,標準の状態では不可能であることと,CHIME年代測定においてはできるかぎりコントラストが高いことが必要なため,独自に高速スキャンで使用できない原因を特定し,回路を設計して改造することにしました.
改造の効果
改造により,ほとんどコントラストが低下すること無く高速でスキャンさせることが可能になりました.以下は,低速スキャン時(SLOW1相当)と高速スキャン時(RAPID1相当)で,液晶モニターをディジタルカメラ(CONTAX TVS DIGITAL)で撮影したものです.
低速スキャン時のモニタ画像 | 高速スキャン時のモニタ画像 |
人間は欲の深い生き物なのでさらに高速化したかったのですが,反射電子検出器そのもの速度の制限により断念しました.言い換えれば,反射電子検出器の限界まで性能を引き出すことに成功しました.これ以上やろうとすると,半導体の製造が必要になります.
コスト
手抜き改造を行ったので,部品代でおよそ1万円くらいです.